コメンテーター QA :脳血管とコレステロールDoctor List Asked Question

コメンテーター
医療法人ひびき会高野クリニック(福岡県北九州市)
高野健太郎(たかの けんたろう)先生

高野健太郎先生

Q.コレステロールは、脳血管の病気にも関係するのですか?

A.
 脳血管に何らかの障害がおき、血流の低下や遮断によって脳神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなって、脳神経細胞のはたらきが低下したり、死んでしまった状態を総称して「脳卒中」といいます。「脳卒中」の原因は、血管が「つまる」状態と「破れる」状態に大別できます。前者の代表である「脳梗塞」は、脳の血管が動脈硬化のため徐々に狭くなることにより血流が低下し、細胞に十分な栄養が行き渡らなくなった状態です。心臓に不整脈などの病気があって、心臓の内に血液の固まりが出来、血流に乗って脳に流れて行き、脳の血管をふさいでしまう「脳卒中」を心原性脳塞栓症と呼び、やはり脳梗塞に分類されます。後者の「破れる」状態は「脳出血」と呼ばれ、おもに高血圧によって弾力性を失った脳内の血管が破れ、血管外に出来た血液の固まりが急激に脳細胞を障害します。
 かつて日本では、脳卒中で死亡する人の大半が「脳出血」でしたが、1975年頃を境に脳梗塞が脳出血を上回るようになりました。これには、高血圧症の診断と治療が大きく関与しているといわれていますが、一方、コレステロールと「脳梗塞」の関係についても、心疾患(心筋梗塞や狭心症など)のように顕著ではありませんが、コレステロール値が高いほど死亡率が高くなることが国内外の調査で報告されています。特にアテローム血栓性脳梗塞といって、脳の比較的大きな血管の動脈硬化によっておこる脳梗塞では、コレステロールとの因果関係が強く疑われています。これに対し、脳出血は、コレステロールが低い場合に多いとする報告が多いようですが、まだくわしい事は分かっていません。
 長らく日本人の死因のトップであった「脳卒中」による死亡率は最近は減少の傾向にありますが、脳卒中にかかる人はむしろ増えており、その後遺症は、日常生活に大きな支障を来たします。脳の血管を守るためにも、高血圧症、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の予防、治療が重要です。



 


高野健太郎(たかのけんたろう)先生